ゲームと映画大好き!
わにやまさん(@waniwani75)です。
PS4/PS3『ビヨンド:トゥーソウルズ』のストーリー感想を書いていこうと思います。
不思議な霊能力を持ってしまった少女の人生が20年の時を超えて描かれます。
特別な存在
主人公のジョディは、ゲーム序盤で超能力者のように描かれます。
別の部屋にいる人間が選んだカードを言い当てたり、手を触れずにものを動かしたり。
そしてその力は人を怖がらせ、ジョディという人間を普通の暮らしから遠ざけていく。
招かれたパーティではいじめられ、近所の子と遊ぶと力が暴走して魔女だと罵られる…。
幼少期のチャプターは軒並み辛いものばかりなんですよね。
特別な施設に入れられ、監視生活を続ける日々から、成長しCIAへの入隊。
普通の生活とはかけ離れた日々が時系列バラバラに描かれ、プレイヤーはストーリーをつなぎ合わせながら進めていくことになります。
ホームレス
どん底からの光を見出だす「ホームレス」。
生きてる意味なんてない。
生きてる価値なんてない。
もう、消えてしまいたい。
失意の中で行き倒れたところをホームレスのスタンに救われるジョディ。
CIAから逃げ出し、物乞いし、ゴミを漁って生きるくらいなら…と、人生に終止符を打とうとするジョディですが、ホームレスの妊婦に出産のときが訪れます。
もちろん、出産に必要なものもなければ、医者に払うお金もない。
必要なものを揃えるために、ジョディの「霊能力(エイデンの能力)」を使って、スーパーマーケットに侵入。
霊能力が初めて誰かのために行使された瞬間でした。
そして出産。
命の誕生は理屈なしで感動するなぁ。
ホームレスたちの喜びようがまたいいんだ。
「クソ こいつすげえかわいいじゃねえか…」
「かわいいんじゃなくて… すごく神々しいよ!」
いや、もう、みんな表情最高だから。
だけど、なにが一番よかったって、その後のスタンの言葉。
「奇跡だ お前は奇跡だ」
今まで、ジョディがどれだけ忌み嫌われて、利用されて、恐れられてきたのかをプレイヤーは見てきたから、
一点の曇りもなく、存在を肯定してくれる言葉。
どん底にいたジョディの心に一筋の光が差したように感じます。
その後の火災でも、霊能力は誰かを傷つけるためではなく、誰かを救うために使われるので、プレイヤーとしても鬱々としていた気持ちが晴れていくようなチャプターなんですよね。
火災後の病院でのシーンも、ホームレスのみんながジョディの回復を心のそこから願っていて、今までの人生にはなかった人間関係が生まれているのがうれしい。
だって、なんか…、普通の人みたいだから。
ナバホ
これまで霊というのは”見えない何か”で、不思議な現象を引き起こす超能力的な位置づけだったんだけど、ナバホのチャプターでは意思を持った脅威としての一面が描かれます。
突然、作風が変わったように飛躍するので、少し戸惑ったけど、このチャプターも非常に面白かった!
海外ドラマで農場・牧場といえば、ホラーの舞台になるイメージが強いので、てっきり牧場に住んでいる家族が実はサイコパスで…という展開かと思ったけど全然ちがった。
悪霊が砂嵐を巻き起こして、人や動物のいのちを奪っていく。
「霊魂とは戦えない」から、ここに住んでいる人は砂嵐の夜は窓を締め切って過ぎ去るのを待つしかない。
物から過去の記憶を読み取り、霊を沈める方法を探します。
これまで、誰のために、どう使えばいいのかわからなかったジョディの力が切り札となっていくのがめちゃくちゃ痛快。
霊魂との戦いは、激しいクイックタイムイベントの連続で、農場を飲み込むかのような砂嵐は迫力がすごい。
この土地で起きたことを紐解いていく面白さと、物語の転換点ということもあって、ワクワクしたチャプターでした。
「ナバホ」最後のシーンでは、壁画によって、ジョディと同じ力を持つ存在が示され、ジョディは自分の運命と向き合う決意を固める。
なんとなく思いつかなかったけど、ジョディの他にも同じ能力を持つ人間がいると考えた方が自然だもんね。
壁画って時点で相当古いことにはなるけど、「自分だけではない」という後押しをこの時期に得られたのは大きい。
バイクで走り去っていく姿は、過去との決別のようにも思えました。
晩餐
迫力のシーンの後には、ものすごくヒューマンドラマよりの展開。
CIA時代へと遡り、気になる上司のライアンが家にディナーを食べに来るので、部屋を片付けて料理を作ります。
ライアンが来るまでには時間制限があるので、
- どんな料理を作るのか?
- 部屋はどれだけ片付けられるのか?
- どんな服を着るのか?
- シャワーは浴びるのか?
どんな行動をするのかはプレイヤーの判断と段取りに任されています。
わたしは、なぜか塩胡椒でしか味付けしてない「青椒肉絲」を作って、部屋の片付けは完璧。
ジャズをかけて、服はクールに。
時間がないからとシャワーは諦めたのに、ライアンが30分くらい遅れてきたから時間を少し持て余したかな。
「行儀よくしててよ」と言われてもちょっかい出したくなるもの。
ぶち壊すまではいかないものの、
このシーンでは、ジョディの意思に反した行動がとれるので、まるでエイデンになったような気分でプレイできるのが面白い。
ジョディがライアンに好意を抱いているのがわかっていたので、「キスする」を選択。
ライアンのことを話してるジョディは、普通の女の子で、だけどエイデンという存在に邪魔される(でも頑なに無視する)という設定が、恋愛映画みたいだよね。
任務
ジョディの中に忘れられない傷を刻みつけた「任務」チャプター。
ある要人を倒すという軍の命令に従い、戦地へと赴きます。
戦地では、言葉の通じない少年と出会い、ささやかな信頼関係が生まれる。
しかし、
銃撃に巻き込まれた人の中に、彼の父が…。
先ほどまでの関係が一転、彼はジョディに向けて何度も発砲。
言葉はわからないが、父の仇に対して攻撃的な言葉を放っているのはわかる。
逃げるようにその場を立ち去るが、「あそこで見たことは一生忘れない」と表情を硬くするジョディ。
そんな時に、倒した要人が大統領であったことが発覚する 。
自身の力が汚い仕事に利用されたことを知ったジョディは、ライアンに怒りをぶつけ、CIAのヘリから飛び降りる。
プレイヤーも、ライアンとのディナーに胸を膨らませた後だからこそ、裏切りが許せない。
ライアンを憎み、CIAを憎みつつも、実際に手を下したのはジョディ自身。
自分も、エイデンも、利用したやつらも、全て許せない気持ちと、整理のつかないぐちゃぐちゃな気持ちでいっぱいだったと思う。
これは勝手な解釈なんだけど、ジョディはCIAとの関係を断つのとと同時に、エイデンの能力とも一度決別しているようにも取れる気がするんだよね。
正確にいうと、エイデンはジョディの制御下にないから”使わない”と思って実行できるようなものではないのだけど。
このチャプターを知ってからだと、また、「ホームレス」や「ナバホ」のチャプターに重みが出ててくるのはその辺り。
「ホームレス」のチャプターでは、エイデンの力で不正にお金を稼ぐことができるが、わたしはジョディ自身の力でお金を稼いだ。
あれは結果的に「エイデンの力をいたずらに使わない」というジョディの決意の表れのようにも思える。
だけど、その後に、新しく生まれてくる命のためにエイデンの力が使われる。徐々にエイデンとの付き合い方が変わって行く。
振り返ってみると、さらにドラマティックに変わっていくのがすごくいいなぁ。(これはあくまで自己解釈ね!)
ノラ
世界中から追われる身となったジョディは、自分が生まれた意味を知るため、母親がいるという精神病院へと乗り込む。
幼少期の実験施設からずっと一緒だったコールが一緒に来てくれる。
ずっと味方でいてくれるし、ものすごくやさしい声だし、ジョディのことを「プリンセス」って言ってくれる。
お父さんとはまた違うんだけど、ジョディのことを包み込んでくれる存在ですね。
ついに再会できたジョディの母親ノラは、廃人と化していました。
組織に薬を与えられ続け、物言わぬ人形にされてしまった母親と霊能力を通じて会話。
自分は誰かに愛され、望まれて生まれてきたのだと知る。
その後は、エイデンの能力で母親を天国へと送りました。
「魂が閉じ込められた」
と言っていた、ノラの魂を解放してあげたかった…。
息をひきとる瞬間に、「はぁ……」と吐息を漏らすのですが、これが全てを表していたように思います。
やっと死ねる。そういう安堵を含んだ吐息だった。
龍の隠れ家
その後、CIAに捕縛され、自由と引き換えに最後のミッションへと赴くことになるジョディ。
他国がインフラワールド(霊世界)を利用しようとしているので、基地を破壊するというミッション。
ミッションには、あの男ライアンも同行。
思いっきり冷たくあしらってやりました。
敵に捕らえられ、拷問されるシーンでは口は割らず。
こういうのって、口を割ろうが、割らまいが、どちらにせよ生きては返してもらえませんからね〜。
(ライアンの目が犠牲になってしまったけど)
基地を破壊するシーンでは、巨大な霊に襲われる。
「ナバホ」のチャプターしかり、
『ビヨンド:トゥーソウルズ』って、もっと現実に近いストーリーかと思っていたけど、どんどんサイエンスフィクション色が濃くなって来て、これはこれで面白いなぁ。
ライアンがかなり男前だったのも印象的。
前回の裏切りを悔いているということも吐いていたし、懸命にジョディを助けてくれます。
基地からの脱出シーンでは「期待を裏切ったことないだろ?」と、焦らしたタイミングで登場してくれるから、一気に株が上がった。笑
助かったものの、助けが来ない状況で凍える二人。
ライアンなんてタンクトップだし、びしょ濡れだから助からないと思ってました。
「愛してる 死なないうちに言っときたかった」
そんなことを言うから、最後に愛を知るのもいいかと思って、ライアンの告白を受け入れた。
ブラックサン
どうやらジョディは助かっていたらしい。
そしてライアンも。
目を潰されたから眼帯をしているんだけど、何か大きなことを成し遂げた勲章のようにも見えましたね。
相変わらずCIAの上層部はインフラワールドにご執心。
もううんざりしているジョディ。
ライアンも同じ心境のよう。
ライアンが改めて愛を告白してきます。
「君を幸せにするためならなんだってする」
「龍の隠れ家」のチャプターで、言葉ではなく行動で愛を示してくれていたので、ライアンの告白を再び受け入れることに。
何もかも終わった後で、ライアンと人生を共にするのも悪くはない。
ネイサンから新しい名前と報奨金を受け取った後、ネイサンの秘密がいよいよ明かされる。
死者の魂と交信できる装置を作ろうと、もう10年以上も妻と子供の魂を現世に引き止めていたのだ。
愛したものが失われた悲しみはわかる。
だが、ネイサンの愛はエゴだ。
ジョディを通して魂は懇願してくる「もう逝かせて…」と。
それでも信じようとはしないネイサンは暴走。
ブラックサン(現世とあの世の同一化)を引き起こす。
ブラックサンを止めるために中心部に向かう道中では、ライアンがまた男前になってました。笑
CIAのトップ?に向かって拳で一発。
「今のは辞表だ」
そのあとも、ライアンの男前発言は止まらない。
「死ぬならカッコよくだ…」
「俺の気が変わらないうちにいけ」
パートナーにしてよかったと思った。
彼ならジョディと生きていけると。
エイデンの秘密
生か死の選択
最後にプレイヤーは生か死を選ぶことになる。
面白いと思ったのは、その”色”。
なんとなく「 生 」が明るい色だと思っていたけど、その逆。
死が明るく天国のような色で描かれ、生が真っ黒に描かれます。
生きていくことは決して順風満帆ではない、と暗示している暗闇を選択するのは、少し躊躇した。
それでも生きていこう。
と、思わせてくれるラスト。
エピローグ
エピローグでは、ジョディの記憶が混濁している様子が見てとれます。
これまで時系列がバラバラに描かれてきたのは、ジョディが、思い出したことを思いつくままに書き記してきたからなのか。なるほど。
プレイヤーはその断片を追ってきたと。
エンディング分岐は3種類見たので、それぞれ少し振り返っていきましょうか。
コメント
わにやまさんの文章力ガンガン上がってる気がします笑
どんどん読んでて楽しくなる記事になっていってますね!
ビヨンドは俺も特に「ホームレス」と「ナバホ」のストーリーが印象的だったなぁ。
ギター弾いてる姿本当にいいですよね。
全てに絶望しかかった中でエイデンに無理やり救われて奇跡を起こす流れは忘れられない。
ナバホで強くなった瞬間も演出本当に上手かったなぁ。
ヘビーレイン比ですが辛い物語の中にも明るいシーンもあったのが救いでしたね。
「晩餐」では俺もちょっかい出しつつキスしました笑
あとは「任務」の章が激烈に重かったなぁ。。
あれは胸が痛すぎる…
ライアンは立場毎にストーリー中での扱われ方がとても上手かったですね。
距離感の緩急が見事に演出されてたと思います。
そしていよいよ今週末はデトロイトですね!
ストーリーへの期待値は今年トップな作品なんでドップリ浸かりたいです笑
おおぉ!なんとうれしいお言葉!
楽しくなってますか!やったーヾ(*´∇`)ノ
最近はレビューよりも、その他の記事の方が文字数跳ね上がってるんですよね。笑
「ホームレス」と「ナバホ」いいですよねー!
序盤は暗いチャプターが続くので、特別心に残りました。
ライアンは本当にチャプター毎にいろんな顔を見せてくれましたね!
最初会ったときなんか、ネイサンとコールからジョディを引き裂く氷のような人間だったのに。
ライアンとの関係の変化は、本編には描かれていない空白の時間を想像させてくれるので好きです。
チャプターの合間でもちゃんとキャラクターたちが生きてるんだなぁと実感できますよね。
ヘビーレインはサスペンスの緊迫感が秀逸でしたが、ビヨンドはシリアスながらも光が射すヒューマンドラマでどちらも面白く、ビヨンドへの期待が高まりますね!
いよいよ明後日ですかー!( ☆∀☆)