ゲームと映画大好き!
わにやまさん(@waniwani75)です。
今回は『シュタインズゲートエリート』のストーリー感想。
「エリート」とつけてますが、初プレイなので『シュタインズゲート』の感想ですね!
名作として名高いノベルゲームは、なるほど納得の面白さでした。
ネタバレ回避していません。
プレイ後にご覧になることをおすすめします。
このゲームの記事 | |
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ノーマルエンド
秋葉原で迷子
タイムマシン発明記念会見へとやってきた主人公の「岡部」は、会場で「牧瀬紅莉栖」の死体を発見する。
18歳にして「サイエンス誌」に論文が掲載されるほどの天才少女が殺された。
気が動転している岡部はラボ(研究所)仲間の「ダル」にメールを送る。
「牧瀬紅莉栖が、何者かに刺されたみたいだ…」
その瞬間、目の前の景色が歪み、死んだはずの牧瀬紅莉栖と再会する。
謎、謎、謎。
戸惑っている主人公と同じく、最初は「何が起こっているのかわからない」という印象でした。
だけど、冒頭に緊迫したモノローグが流れるので、理解できない”濁り”があるのはむしろ大歓迎!
理解したくていろいろ思考が巡るから、勝手に面白くなります。
まだまだ物語は、これから。
過去にメールを…
ひょんなことから、ラボのメンバーになった牧瀬紅莉栖と共に、岡部とダルは「電話レンジ」という不思議な電子レンジが起こす現象を解明していく。
「牧瀬紅莉栖が、何者かに刺されたみたいだ…」
という、ついさっき送ったはずのメールが、1週間も前のダルの携帯に届いていたことをきっかけに、実験を重ね、ついに「電話レンジ」を利用して過去へとメールを送る機能(データのタイムマシン)を確立させる。
SERNという研究機関がタイムマシンの開発をしていると嗅ぎつけた岡部は、謎の暗号を解読するために、「IBN5100」というレトロPCを手に入れ、そこで衝撃の事実を知ってしまう。
SERNは未完成の技術を使ったタイムマシンの人体実験を行っており、過去に飛ばされた人間はゼリー化し死亡していた。
「電話レンジ」を改良していく過程は、理科の実験を見ているようで面白かったですね〜!
放電の発動条件を知識を出し合って推測して、成功して、でもタイムマシンを認めたくない紅莉栖には彼女なりの事情があって…、とドラマもいろいろ絡んでくるから退屈しません。
過去の実験で「電話レンジ」でチンしたバナナがゼリー化していたので、「ゼリーマンズレポート」というその名前を聞いただけでゾッと背筋が凍りました。
過去を変える
「電話レンジ」の過去にメール(Dメール)を送れる機能を使えば、未来(今)は変えられるのか?
という実験のため、4度のDメールを送信する。
- 桐生 萌郁:過去の自分に携帯の機種変をしないように警告する
- 漆原 るか:女の子になるために妊娠中の母へ野菜を食べるよう助言する
- フェイリス:内容不明、どうしても変えたい過去をやり直す
- 阿万音 鈴羽:父に会えるかもしれない千載一遇のチャンスを逃し、姿をくらました鈴羽を引き止めるように助言する
このチャプターは、一番面白くなかったですね。
面白くないというか、主人公の行動が不自然すぎてモヤモヤしました。
明らかに怪しい萌郁に気を許しすぎだし、どこで「IBN5100」を手に入れたのかもあっさり言っちゃう。
ルカ子の性別転換を確認しない。(絶対変わってるとプレイヤーは確信している)
フェイリスのDメールで、秋葉原からアニメが消えて、ただの電気街になってしまったのにも関わらず、それでもいいかと受け入れ、Dメールを使うことをやめない。
さすがにちょっと浅はかすぎるし、このあとDメールを取り消していくために心を痛めるのも「自業自得なんじゃないか?」という気が少ししたんですよね。
1つや2つなら見過ごせるけど、これだけ重なるとさすがに”ウソっぽさ”が生まれてしまいます。
タイムリープと死
さらに実験を続け、岡部たちは記憶をデータ化して過去の自分へと飛ばす「タイムリープ」を完成させる。
つまり、タイムリープすると「未来を知った状態になる」ということ。
しかし、あまりにも危険すぎる装置。結局使わないまま、国家機関に委ねることにするが、萌郁が率いるSERNの集団に襲撃され、岡部の幼馴染「まゆり」が殺されてしまう。
岡部はまゆりを取り戻すため、「タイムリープ」を実行する。
「42 テレビ 点灯済み」
あのセリフにはシビれたぁぁ!!
あぁ、なるほど!…と。
こういう物語なのか!…と。
ようやくわかりました。
まぁ、わたしは理科の実験している序盤も結構好きなんですが。
この興奮の展開から、タイムリープ1周目の「同じ轍を踏む」展開はムズムズしましたけどね!笑
なにやってるんだよ!
動けよ!岡部!って。
世界の意志説
タイムリープを成功させ、まゆりが死ぬ前まで戻った岡部は、まゆりを連れて逃走するが、どこに逃げてもどんな状況でも、必ずまゆりは死んでしまう。
何度も何度もタイムリープをするが、それはまるで世界の大きな意志のように岡部の前に立ちはだかる。
どうにもならない現状を打破するため、岡部は紅莉栖に「タイムリープ」してきた主旨を打ち明け、協力を仰ぐ。
「一人じゃ、まゆりを助けられない
助けてくれ……」
「無茶しやがって、バカ……
……あんたの力になりたい
私は、いつだってあんたの味方よ」
紅莉栖こと、クリスティーナの存在感が急上昇してきました。
もともと、研究所ではブレーンとして頼もしい姿を見せ、天才ながらもツンデレな一面で親しみやすく、まゆりよりも絆を感じていましたが、「助手」ではなく、信頼できる「パートナー」だなと。
厨二病全開で、いつもふざけている主人公だからこそ、「普通の喋り方」と消え入りそうな声に胸が締め付けられます。
どんな状況でも、なんだかんだでラボに戻ってタイムリープできる主人公には少し笑いましたが。笑
まぁ、今考えるとそれも「まゆりの死」と同じように、辿り着けるように決まっている世界なのかもしれませんね。
あとは…、そうですね、まゆりが最優先なのはわかりますが、紅莉栖とダルの扱い適当だなとは少し。
ラボの仲間との結束感が好きだったので、タイムリープしてきたことを説明もせず主人公以外が置き去りになってしまう展開に寂しさのようなものがありました。
鈴羽との想い出
まゆりが死ぬ運命を回避するには、「IBN5100」を使って、Dメールを送った事実を消去しなければいけない。
しかし、手に入れたはずの「IBN5100」はラボから消えていた。
ここで、鈴羽が未来からやって来たタイムトラベラーだということが発覚する。
SERNに支配された未来を変えるため、過去にある「IBN5100」を岡部に託すという使命が鈴羽にはあったのだ。
壊れたタイムマシンをダルに直してもらうが、タイムマシンは過去への一方通行であり、鈴羽はもう二度と未来に戻ることもできなければ岡部たちと会うこともできない。
いよいよ鈴羽が過去へと発とうとするとき、鈴羽の父がダルであったことが明らかになる。
「きっとまた、会おうな!僕、そのときまで頑張るから!
とにかく僕は頑張るから……鈴羽も、頑張ってな!」
『シュタインズゲート エリート』で、初めて泣いたシーンでした。
父に会うためだけに2010年により道してた鈴羽を知ってるから、やっと父と会えて笑顔で抱擁できて、「よかったね」という気持ちと「もうさよならなのか」っていうせつなさとでいっぱい。
そんな鈴羽を見送るダルの、全然カッコよくない「普通の言葉」が全部ホンモノっぽくて、すごくいい。
過去の時間軸で成長した54歳の鈴羽と再会できるっていう希望もありましたからね。
絶望の手紙
54歳に成長した鈴羽が「IBN5100」を持ってラボに訪れる 。
そう期待していた一同だったが、届いたのは1通の手紙。鈴羽はすでに亡くなっていた。
「失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した
こんな人生は、無意味だった」
タイムマシンが完全には直っておらず、過去に飛んだ時点で鈴羽の記憶が失われ、「IBN5100を未来に届ける」という目的を思い出せた頃にはもう手遅れ。絶望のうちに鈴羽は自殺したのだ。
父に会えずに姿を消そうとした鈴羽を、Dメールを使って引き止めていた岡部。
あの日まではタイムマシンは壊れてなどいなかった。
新たに過去へのDメールを送り、「鈴羽」を引き止めない未来(今)へと改変する。
ダルとの抱擁も、鈴羽と過ごした日々もすべて消えてしまった。
衝撃という意味では、ここが一番だったかもしれません。
成長した鈴羽と再会できると信じきっていたので、こんなに絶望的な展開になるなんて…。
またさ、ダルが直したタイムマシンが不完全だったっていうのが残酷すぎる。
娘の人生を自分の手で台無しにした。
それは誰よりもダルが痛感しているはずなのに、いの一番にダルを責める岡部は野暮だと思いましたね。
初めて選択肢を突きつけられて一瞬「どうしよう…」と思ったけど、たかだか数日のために鈴羽の人生を台無しにすることなんてできませんでした。
フェイリスとの想い出
鈴羽の過去は改変されたが、それでも「IBN5100」は岡部たちの手元には戻ってこなかった。
何度か送ったDメールの過去改変が影響していると考えられ、岡部はまずフェイリスのDメールを取り消そうとする。
しかし、フェイリスが変えた過去というのは「父親が死ぬ運命」だった。
大地主の父親が死んだ後、フェイリスが秋葉原の都市開発に関与していたために秋葉原はオタクの聖地となった。
父親の死をなかったことにしたから、秋葉原は電気街のままになったのだった。
本来、改変前の世界を覚えているのは岡部だけだが、フェイリスは「父が死んだ世界」を思い出し、最期の別れを告げる。
鈴羽のときもそうだった。
また今回も、俺は誰かの大切なものを犠牲にしなければならないのか。
主人公以外は改変を覚えていない。
それがかくも苦しいものかと、感じましたね。
Dメール送信後、いつものフェイリスを見ているだけなのに、「忘れたくない」とすがったフェイリスが頭に浮かんで苦しくなる。
フェイリスを抱きしめた岡部の胸の苦しみが、ひしひしと伝わってきました。
フェイリスではない、秋葉留未穂のときがかわいいね。
ルカ子との想い出
続いて取り消すのは、漆原るか(ルカ子)のDメール。
念願の女性になれたルカ子に改変の真実を伝えるが、まゆりが死ぬまでの猶予期間に「恋人になってほしい」と頼まれる。
岡部は恋人を演じるが、気まずい空気が続くうちにタイムリミットが迫り、ルカ子はDメールの取り消しに応じる。
「ボク……岡部さんを……好きになれて……よかったです……
本当は……戻りたくないです……っ
男なのに岡部さんのこと、好きでいちゃ、いけないと思うから……っ
さようなら。ボクの……好きな人 」
男だとか、女だとか、そういうの関係なく、ルカ子と岡部は恋人になれないなぁと思い知りましたね。
このデート、気まずすぎて見てらんない!
ルカ子とのデートの予定を紅莉栖と立ててる時点で、
って。
例えば、彼氏が女友達に相談して買ったプレゼントを彼女がもらって微妙な気持ちになる感じ。
岡部も岡部で、ルカ子への贖罪の意味があるなら全力で恋人を演じてやれよ!と、もどかしい気持ちでしたね。
まぁ、そんな器用な男ならルカ子は好きになってなかったんだろうと思うけど。
ミスターブラウン
最後に取り消すのはSERNの末端工作員だった萌郁のDメール。
携帯の機種変をしないようにと警告したというのは嘘で、過去の自分に「IBN5100」の在りかを送っていたのだった。
過去を改変させるため、萌郁が心酔している上司・FBを探し出すことにした岡部。たどり着いたのは、ラボの大家でもあるブラウン管工房のミスターブラウンだった。
SERNに支配された未来を変えるためにやってきた鈴羽。
鈴羽は恩人だというミスターブラウンはSERNの手先。
「橋田鈴は、あなたにそんなことをさせるために、世話をしてやったんじゃない……!」
「ホント、なんでこんなことになったんだろうなあ」
ミスターブラウンは、自らの拳銃で頭を撃ち抜いた 。
混乱と静寂の中、萌郁が何者かに刺されて倒れる。
そこに立っていたのは、ミスターブラウンの娘・綯。
ミスターブラウンが萌郁と岡部によって殺されたと解釈した綯は、その憎悪を抱えたまま成長し、未来からタイムリープマシンを2738回使用して萌郁を殺しにやってきたのだった。
綯に復讐心を植え付けないためにも、岡部はFBの携帯からDメールを送った。
岡部が萌郁と修羅場になる前、紅莉栖が助言してくれたセリフが好きですね。
「殺してでも、奪い取るべきよ
私は今、人としての倫理を捨てて話してんのよ。岡部も付き合いなさい」
こんなこと言ったらダメだろう、という咎を排除し、外聞を捨て、最善の方法を岡部に助言してくれる紅莉栖。すごく頼もしいと思えました。
岡部も、第三者に言われることで免罪符を手に入れたような気持ちがあったはず。
このセリフだけで、今がいかに緊迫した状況で、まゆりを殺しまくった萌郁にかける情などないと改めて思い出させてくれました。
ミスターブラウンが黒幕っていうのは驚きましたね。
狂ってる綯よりも、表情一つ変えないミスターブラウンの方がよっぽど怖かった。
最初のDメール
全てのDメールを取り消すことができた岡部の元には「IBN5100」が戻ってきていた。
あとはこれで、最初に送ったDメールのデータを消去するだけだ。
「牧瀬紅莉栖が、何者かに刺されたみたいだ…」
最初に送ったDメールのデータを消す。
それが何を意味するのか、岡部はようやく気付く。
まゆりを生かすために最初のDメールを消すということは、紅莉栖が殺された事実を変えない。ということだ。
紅莉栖を見捨てるか。
まゆりを見捨てるか。
「こんなの、選べるわけ……ないだろ……」
二者択一の事実を知った紅莉栖は言う。
「両方救うのは無理。そうでしょ?
まゆりを助けて
私は、まゆりを犠牲にしてまで生きていたくない!」
「こんなの……こんなのあんまりだ……!」
ああああぁぁぁぁぁぁ……。
そうかぁ…、こうなる……よねぇ。
正直さ、まゆりに対する想いってそんなに強くないじゃない?
だから、「まゆりを助ける」という使命を岡部に背負わせておいてから、本命の紅莉栖を殺しにかかるっていうのはすごく巧いなぁと思いましたね。
事実を知らされた紅莉栖の苦悩と、事実を知らされないまゆりの苦悩が対比していて、どちらも苦しい。
気丈に振る舞っているように見えて、弱さでいっぱいの紅莉栖に心を持っていかれてしまうなぁ…。
紅莉栖を助けたいです。
まゆりと生きていく
どうやったって、両方は助けられない。
岡部はまゆりを助けることに決めた。
全てをまゆりに打ち明け、2人はアメリカに帰国する紅莉栖に会いに行く。
「まゆしぃだって、クリスちゃんを犠牲にしてまで、生きていたくないよぅ!」
「それは許されない。俺はまゆりを選んだのだ。まゆりには”救われる”義務があるのだ」
「まゆり、約束よ。あんたは、幸せになりなさい」
罪悪感で押しつぶされるまゆりを、岡部は抱きしめる。
「クリスちゃんと、約束したから
幸せに、してください……
離さないで、ください……
ずっと大好きで、いさせてください……」
岡部はラボに戻り、メールデータの消去を実行した 。
ここに選択肢はないのか…。
たしか、そんなことを思いました。
岡部の厨二設定が活きてくるエンディングでしたね。
「非情なマッドサイエンティストを演じる」ことで、割り切ろうとしている。
いや、割り切ってなんかないね、乗り切ろうとしてるって感じだ。
メールデータを消して、まゆりとダルの記憶から、紅莉栖の存在が消えてしまったのが悲しくてたまらない。
まるで最初から、そんな人間はいなかったかのような…。
一応、綺麗ではあるけど、結局「紅莉栖は誰に殺されたんだろう?」などなど、疑問を多く残すエンディング。
鈴羽エンド
少し時間を遡って、各女性キャラクターの過去改変を取り消さない、つまり、「Dメールを送らない」を選択することで分岐するエンディングを軽〜く振り返ってみます。
鈴羽と過ごした日々をなかったことになどできない。
Dメールを送ることをやめた岡部は答えの出ないまま、毎日を延々とループし続けていた。
どうせループをすれば「なかったこと」になる毎日。
精神が侵されてしまった岡部は、ダルを見殺しにしようとし、鈴羽を陵辱しようとするなど、狂い始めていた。
岡部の異変に気付いた鈴羽は、解決策がないならと、ともに1975年に行くことを提案する。
「一緒に来て……あたしを、助けて」
「……行こう」
俺たちはこれから、35年をかけて世界線をねじ曲げる。
廻り続ける自転車の車輪がループを続ける岡部を表している。という面白い演出ですね。
分岐エンディングの中では、一番希望を感じるエンディングでした。
というか、ドラマとして最も泣けたのが鈴羽のチャプターだったので、鈴羽というキャラクターを好きになっていたんだろうな。
鈴羽とともに1975年に飛んで、どうなるかは全くわからないけど、あまりいい結果は期待できなさそうな気がしますね。
でも、誰の死ぬ瞬間も見なくてよく、新たなる旅立ちを感じさせてくれるので、これはこれで受け止められます。
フェイリスエンド
フェイリスから父親を奪うことなどできない。
Dメールを送ることをやめた世界では、岡部のラボがなくなり、フェイリスと恋人同士になっていた。
一番守りたかったまゆりと、ラボ仲間のダル、2人とは他人となっており、岡部を知る人は誰もいない。
この世界にタイムリープマシンはなく、やり直すことはもうできない。
恋人になった記憶を失っている岡部とフェイリスの心はすれ違うが、頼れる存在のいない岡部にとってフェイリスが救いになっていく。
「思い出が消えるのって、とっても、切ないのニャ……
自分の知ってる人が、知ってる人じゃなくなっちゃって……
自分だけが、思い出が消える前のことを引きずってて……
その想い出を、押し付けることもできなくて……」
「俺はお前の恋人になった想い出はないが
お前が恋人でいてくれて、よかったと思う」
「あなたはね、私の王子様なんだよ
これからも、私はあなたを好きでいていいんだよね?
キスしてもいい?」
分岐の中では、フェイリスが一番好きです。
フェイリスの切なさが最高ですね。
恋人に忘れられてしまうというのは、身を裂かれるようだと思います。
目の前にいるのに、抱きしめることもできず、受け止めてももらえず、そこから再び恋を始められるのか?
結果として2人は新しい恋を始める。でも、それは今までとは少し、違うものになる。
「よかった」と笑う、フェイリスの嬉しくて悲しそうな顔が忘れられません。
正直、猫耳メイドは苦手なタイプなので、ここまでの思い入れが生まれるとは思いませんでした。
髪を下ろしたときのフェイリス、すごく綺麗だね。
ルカ子エンド
ルカ子から性別を奪うことなどできない。
どうあがいても、まゆりを助けることなんてできない。
Dメールを送らなかった岡部は、まゆりを助けることを諦めた。
まゆりが死ぬ前に、ずっと断ってきたコスプレを着てあげたいというルカ子、岡部はルカ子をタイムリープさせる。
過去を改変してきたルカ子から見せられた写真には、ルカ子のコスプレを喜び、はしゃいでいるまゆりとみんなの姿が写っていた。
「一緒に、この想いを忘れずに……生きていこう……」
唯一、まゆりが死ぬ運命を受け入れたエンディング。
最優先事項だった「まゆりを助ける」ことを諦めてしまったわけですが、絶望という印象はなく、これでもいいんじゃないか?って思いました。
そこは多分、「まゆりへの感情移入」が最初から薄かったからなのかな。
トゥルーエンド
紅莉栖を見捨てるか。
まゆりを見捨てるか。
結局選べなかった岡部は世界をループし続けるが、解決策は見当たらず、紅莉栖を助けられないという結論に至る。
まゆりを助けるために奔走する岡部にいつも手を差し伸べ、常に隣にいてくれた紅莉栖。
こんな状況になって、岡部は紅莉栖を好きだということに気付く。
「俺は、お前が好きだ」
相手の気持ちを聞こうとするが、目を閉じろと促され、不意にキスをされる。
「べ、別に、したくてしたんじゃない……から……
どうしても、岡部にだけは、私のこと忘れてほしくなかったから……」
質問には答えない紅莉栖。
絶対に忘れないようにと、岡部は再びキスをして強く抱きしめる。
「時間は絶対的じゃない
相対性理論って、とてもロマンチックで
とても、切ないものだね……」
これは、惚れるよぉぉ!!!
紅莉栖とのキスは、うれしくて…、せつなくて…、
気持ちを聞かれて、「えっ!? と、言いますと!?」って返すのとか、キスしてるのに「別に、したくてしたんじゃない」って言ったときは、ツンデレすぎて笑っちゃいましたね。笑
いや、嫌いじゃないですよ。とてもかわいいです。
キスシーンで相対性理論を持ってくるのは、科学をテーマにした本作らしい名文句。
こんなに大切な人を、見捨てなければいけないのか…。
望んだ世界
ラボに戻り、岡部は最初に送ったメールのデータを発見する。
「訪れるのは、俺が望んだ世界なり!」
消去の実行キーを押した瞬間、ラボの扉が開き 、そこには紅莉栖が立っていた。
「さよなら
私も、岡部のことが 」
刹那、岡部の視界は歪み、過去は改変された。
好きな女すら、犠牲にした。
俺にとって誰よりも大切な人は、いないということ。
なんで、よりによって紅莉栖なんだよ……。
エンターキーを押した瞬間に、紅莉栖が入って来たとき、すごくうれしくて…、同時に深い悲しみが襲ってきました。
舞い戻ってきた紅莉栖の気持ちを考えると…、ね。
どこで踵を返したんだろうとか、ここにくるまで逡巡したのかなとか、でもたまらなくなって走ってきたんだろうとか…。
紅莉栖のセリフは、想像させるのが巧いですね。
「私も、岡部のことが 」と聞けば、その先に続く言葉は、そういうことだとわかるし、でも大事な部分を聞けない悲しさがこみ上げてくる。
キスシーンの時も「……そうか。あんたは、初めてじゃなかったのね」という言葉で、紅莉栖のキス体験がわかる。
読み手の想像力と解釈に委ねることで、紅莉栖というキャラクターが心の深いところに刺さってきます。
β世界線
紅莉栖を犠牲にして、まゆりの死なない世界を手に入れた岡部の元に、タイムトラベルしてきた鈴羽がやってくる。
「この世界線の未来では、第3次世界大戦が起きちゃうんだ
それを回避するために、あたしに協力して過去を変えて!お願い!」
「俺は……α世界線からここに来た。俺の大事な女の命を犠牲にしてまで、ここにたどり着いたんだ!
57億人が死のうと、知ったことかよ!
あいつの……紅莉栖の犠牲を無駄になんかさせないからな……!」
「未来を変えるために必要なのが、牧瀬紅莉栖を 助けること……って言ったら?」
岡部は紅莉栖を助けるために、運命のあの日へタイムトラベルを決行する。
鈴羽が「過去を変えてくれ」と頼んできたとき、ふざけんなよ!って怒りが湧き上がってきました。
と同時に、自分がいかに岡部という主人公に感情移入していたのか気付かされました。
「57億人が死のうと、知ったことかよ!」まさに、そんな気持ち。
どんな想いで、紅莉栖を殺したと思ってるんだ…!と。
一度は諦めた命。
あまりに早く、取り戻せるかもという希望が湧いてきて、「うれしい」というよりも、感情を弄ばれているようで戸惑いの方が大きかったです。
愛しい人
殺される運命の紅莉栖を救うため、タイムマシン発明記念会見の時間軸へと戻ってきた岡部。
そこで、殺される直前の紅莉栖に出会う。
もう二度と、会えないと思っていた。
もう二度と、その声を聞けないと思っていた。
誰よりも大切な人が、目の前に立っている。
”俺はお前を助けられるだろうか……”
紅莉栖が父と口論になり、もみ合いになっている現場を目撃し、助けに入る岡部。
父はナイフを取り出し襲いかかる。
このままでは紅莉栖が殺されてしまう。
そう感じた岡部はナイフを奪い取り、紅莉栖の父にナイフを向けて突進した。
「ダメっ!」
その瞬間、父をかばった紅莉栖の体に岡部のナイフが突き刺さる。
俺が、殺してしまった
「ごめん……殺すつもり……なかった……。俺は……助けようと……」
絶望で心が張り裂けそうだった。
過去へ戻って、紅莉栖に会えたとき、すぐにでも抱きしめたい気持ちでいっぱいでした。
でも紅莉栖は岡部と初対面で…。
ゲーム冒頭、「さっき、私になにを言おうとしたんですか?」と声をかけてきた紅莉栖の言葉に繋がる瞬間が、そうか、今なのかと。
そりゃ、泣き出しそうでつらそうな顔をしているはずだよ。
っていうか、ほぼ泣いてるよ…。
紅莉栖を殺したのは、岡部自身だったという、あまりに残酷な事実。
ここは、本当にノベルゲームでよかったと思ったシーンです。
もしも、自分で操作しなければいけないインタラクティブADVだったとしたら、絶望はこんなもんじゃなかった。
”本当に”自分の手で紅莉栖を殺してしまったという絶望を味わっていたと思う。
世界を騙せ!自分を騙せ!
紅莉栖を救うどころか、自らの手で殺してしまい、絶望に打ちひしがれる岡部に、未来の自分からムービーメールが届く。
「岡部が紅莉栖を殺す」それも、計画のうちだったのだ。
「紅莉栖を殺した」という悔恨の想いが、未来の岡部にタイムマシンを作らせた。
本当に紅莉栖を助けるためには、過去の岡部が紅莉栖の死体(だと信じ込んだもの)を見た事実をなかったことにしてはいけない。
紅莉栖の死体を作り上げ、過去の自分と、世界を、騙せ 。
岡部は再び過去へ飛ぶが、用意してきた血のりが使えなくなっていることに気付く。
死ぬ運命を変えられないということは、死なない運命もまた変わらないはずだ。
岡部は紅莉栖の父を挑発し、自らの腹にナイフ刺す。
父は逃げ出し、朦朧とする意識の中、岡部は紅莉栖をスタンガンで気絶させ、自らの血で血だまりを作り、未来(今)へと帰る。
「痛かったか……?済まなかった。だが、お前を……救うためだったんだ」
再び会うことは、きっともうないだろう。
「……さよなら」
「お前は、紅莉栖を助けることができる」
未来の岡部がそう言い切ったときは鳥肌モノでした!
これまで「 ? 」だった点と点がどんどん繋がっていく気持ちの良さと、紅莉栖を助けるための偽装トリック。
血のりが使えない展開はちょっと不自然だったけど、めちゃくちゃ面白い!
スタンガンで気絶させた紅莉栖に、「痛かったか……?」と気遣う岡部がいいですね。紳士です。優しいです。紅莉栖への愛を感じます。
邂逅
血だまりを作るほどの傷を負った岡部は瀕死の状態だったが、一命を取り留めていた。
紅莉栖と過ごした3週間は消えてしまった。
彼女がどこかで生きている。岡部にはそれだけで十分だった。
秋葉原 。
溢れかえる人の中に、岡部は見た。……ここにいるはずのない、彼女の姿を。
「やっと、会えた」
声をかけたのは、紅莉栖だった。
「あなたを、ずっと捜していました
私、一言、お礼が言いたくて
どうしても、あなたに会いたくて
本当にありがとう」
せっかく封印しようとしていた、彼女への愛おしさが一気に溢れ出す。
「また会えたな、クリスティーナ 」
「いや、だから私はクリスティーナでも助手でもないと言っとろう 」
「……!?」
それは、今の紅莉栖が知っているはずのないあだ名。
失われた3週間の中で、何度も呼んだ彼女のあだ名。
未来のことは、誰にもわからない。
無限の可能性があるんだ。
人混みの中に彼女を見つけたとき、心臓がドクンと脈打ちました。
彼女から声をかけてくれて、少なからずそこには好意が感じられて…。
「どうしても、あなたに会いたくて」
そう紅莉栖が言ったとき、多くのプレイヤーは思ったはずです。
その何十万倍も会いたくてたまらなかった、と。
会いたくて会いたくて、たまらなかった、と。
でも、それでも…。
フェイリスのときと同じで…、愛した人が自分を忘れてしまっているという悲しみはやっぱりあって、出会えたことが心底うれしい気持ちと、”あの時”の紅莉栖ではないんだという寂しさ。
目の前に彼女がいたら、触れたくなる。
生きているだけでいいと岡部は言ったけど、やっぱり抱きしめたくなる。
そんな時に、過去の記憶の片鱗が見えて、救われました。
未来の無限の可能性に。
おまけ:紅莉栖との絆
紅莉栖との邂逅も素晴らしかったですが、紅莉栖ルートに入ってからのメールや会話の中で見られるかわいい嫉妬が大好きですねー!
フェイリスのDメールを取り消した後の抱擁を見て「羨ましすぎだろマジで……。」「ちくしょー、私にはセクハラしかしないくせに!ヽ(`Д´)ノ」って、メールが来たときは頬が緩みました。
すごく日常っぽい会話で、2人が打ち解けているのがよくわかるなーって。
仲良くなるほど、顔文字やネットスラング連発の「@ちゃんねらー」な一面がどんどん出てきて、すごく身近に紅莉栖を感じます。
ちなみに、わたしが紅莉栖のセリフで一番好きなのは、こちら。
「脳科学専攻ですけどなにか?」
この勝ち誇ったように得意げな表情、言ってくれるね〜!
いい顔です。
まとめ
ちょっとご都合主義的な展開が多いのは気になりますが、面白かったー!!
なんで「紅莉栖を助ける」という選択肢がないんだー!とは思いますよね!
だって、愛しちゃってるから。
愛しちゃってるからこそ、もう少〜しだけ先の未来を見たくなっちゃいます。
コメント
素晴らしいノベルゲーデビューやね!
やっぱこれを一作目に薦めたのは正解やった笑
エリートになってよりテンポ良くなってたから結果的にさらに良くなった(^^)v
いきなりサスペンス調のスタートやからね!
原作ではあそこまで不穏な感じはしてなかったから良リメイクやったと思う。
あんなスタートなのに紅莉栖が死ぬこと忘れちゃうような作りになってるのが憎いわぁ笑
ゼリーマンは本当にエグいよね。
まゆりの死亡ラッシュではゲル化したまゆりカットも原作ではあったりでトラウマものやった…
厨二病っぽく話してたらそれがホンマやった!みたいなのはよくある話やけど背筋が寒くなる感じが良かったw
確かにDメールラッシュはちょっとねー
完全に舞台設定作り上げるためのご都合主義w
原作ではこの辺の日常描写や葛藤もっと長々やってたから違和感薄かったけど、
テンポ良くするためかまぁいいかって感じで進んでたね笑
やっぱラウンダー襲来から一気に引き込まれるよね!
ここからはホンマにノンストップでまぁ睡眠削った削ったw
まゆり含めてどのキャラもここから一気に深掘りされていくからどのキャラもどんどん愛おしくなってくよね。
鈴羽は紅莉栖に次ぐ人気やからね!
ダルとのやりとりはもちろんまゆりが大活躍したのが印象的やったなー
まずここで感動で泣かせた後に「失敗した」の絶望感は本当に作者の性格悪い!w(褒め言葉)
個人的には紅莉栖の次に好きなんがフェイリスなんよねー
素の留未穂がものすごく芯が強いと分かった上でのあのキャラクターと考えるとフェイリスパートで一気に好きになった!
そこから岡部にだけ弱さを見せる演出が憎い!
俺もフェイリスエンドは一番それでもいいんじゃないかと思えた。
あとはやっぱり紅莉栖ルートの切なさは半端ないよねー
どんどん存在感大きくなっていくのがこれでもかと表現されていた中での紅莉栖の死に気づく瞬間の絶望は忘れられない。
リアルに俺忘れさせられてたからねw
ラジ館でのシーンからラボのキスシーンの初々しくも切ない2人、ずっと涙目笑
紅莉栖のウブな感じが可愛すぎてすげー好きになった笑
世界線戻す直前の紅莉栖には大号泣したなぁ…
終盤だと紅莉栖を本当に救えるとなった時の鳳凰院凶真がマジでカッコよかった!
スタート時は「なんやこの主人公…」って感じだったのにこんなに感情移入できるキャラが見当たらないレベル笑
解決後すれ違う場面の美しさはまさに完璧!!
ちなみにシュタゲゼロは紅莉栖救出失敗から例のビデオレター送るまでのオカリンの物語なんだよね。
結末が分かっているとはいえ面白かったよ!
だーりんはラブコメチックな完全な外伝、エリートについてたフェノグラムは本編を他のキャラ視点で見たような外伝なんよね。
誰からやっても問題ないからもう少し彼らの話が見たかったら是非!!
「エリート」でノベルゲーム始めてよかったよー!
静止画よりもずっと細かい動きわかるし、原作知らないけど、前半の日常パートもかなり面白かったしね!
前半のラボメンとの結束感が後半で失われるのが、寂しかったくらいだし。笑
シュタゲがタイムトラベルもの初プレイだったら、衝撃凄いのはめっちゃわかるw
絶対特別な1本になるよね、これ。
外伝いろいろ出てるんやねー。どれも一通りプレイしてみたいと思うほどには、シュタゲ好きだから、ちょっとずつやっていくよ!
やるなら、PS4の特典だったフェノグラムからかな。
あとは、まず、どの機種でどうやって遊ぶのかを調べるとこから始めるよ。笑
わたしもフェイリス大好きだよー!
ネコミミメイドって……、「絶対好きにならないキャラ」って決め込んでたから、それが覆されて、惚れたなー!
フェイリスルートの時は、岡部孤立してたし、そんな中で、全てをゆだねるような信頼を寄せてくれるから、安心感すごかったんだよね。
いきなり恋人になってて、距離が一気に縮まってたのにもドキッとした!
フェイリスルートは、もう少しじっくり見たいと思ったくらい。留未穂がかわいいよね。
紅莉栖は「脳科学専攻ですけどなにか?」で惚れた気がする。
ゲーム前半の物理学シャワー大好きだから、紅莉栖から溢れ出す知識を聞いてるのが心地よくってね。
それが専攻が脳科学って知って、天才かよ!って。笑
1周目がまゆりルートだったから、紅莉栖ルートに入って、どんどん親密なシーンが追加されていくのが超こそばゆかったなぁ。
そこから、あのキスシーンでしょ。
好きになるよ!あれは!!
ラストシーンも美しかったなぁ。
それでもわたしの中には、3週間が消えてしまったっていう切なさがどこかにあって…。
Dメール回収の時に、みんなが改変前の記憶取り戻してた描写がここで希望に変わってうれしかったよ。
ウユニさんに「泣きゲー」って聞いてたから、LiSやFF10のようにズルズル引きずっちゃうかと思ったけど、いい意味で裏切られた!
今回もバッチリハマっちゃったよ!ありがとね!